Honda開発陣の中でも精鋭が結集して生み出されたHAWK 11が持つ高いトータルパフォーマンス。その走りは、実に奥が深いものになっている……。
HAWK 11は日本の道を走ることに焦点が絞られている
今現在のHonda開発陣におけるエース級スタッフが集まり『公道を走るための大型ロードスポーツ』を手掛けたらどんなものになるのか?個人的な感想にはなってしまいますが、HAWK 11というバイクは、そのひとつの答えだと私(北岡)は思っています。
排気量1100ccの直列2気筒エンジンは最高出力102馬力。今の時代は市販車でも150馬力なんて当たり前、バイクによっては200馬力オーバーなんてものまであるけど、HAWK 11はいたずらにパワーだけを追いかけていません。
だけどそのエンジンはパワーユニットの担当者からして『最高のエンジン』と言わしめるほどの逸材。しかもそこにHAWK 11らしさにこだわったチューニングが施されているんです。
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そして、このバイクに乗れば誰もが感じることだとは思いますがHAWK 11の最高出力102馬力は、実のところ侮れません。特にライディングモードをSPORTに設定すれば『こんなにも荒々しいのかっ!?』と驚くことになるはず。
これはエンジン設計担当者が言っていたとおり、低~中速域を重視したセッティングになっているからなんだけど、オンロードスポーツとしてはその加速があまりにも強すぎるため、電子制御ですこし抑えてあるほどなんです。
正直、街中ではSPORTで走るのはちょっと気を使うレベル。ぶっちゃけ普段はSTANDARDで乗るのがおすすめです。まぁ、STANDARDでも十分以上にパワフルなんですけど……
最高のエンジンを車体が活かす
しかし、それほどのエンジンが故に、パワーユニット自体が持つ魅力をライダーが安心して楽しむためには、それを受け止める車体が優秀でなければなりません。
だけどフレームは基本的にNT1100と共通。それをオンロードスポーツとして成立させたのは2020年からのダカールラリー連覇にも帯同した足まわりのスペシャリストでした。
これは過去の試乗記の中でも言っていることですけど、HAWK 11の足まわりセッティングは本当に魔法のようなんです。
高速道路クルージングでは『これツアラー?』と思うほどに快適で、ひと昔前のスポーツバイクにありがちなガチガチの固さ感は皆無。路面の継ぎ目などは綺麗に吸収してくれます。だからHAWK 11は疲れない。THE WINDING SPORTというコンセプトながら、優しさも感じる乗り心地の良さを持っているんです。
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けれど、その足まわりはワインディングを走ると印象が一変。
前後ともにストローク感のあるサスペンションは、きちんと路面を捉え、バイクを寝かせている間も乗り手に不安を感じさせません。そのうえでABSやHonda セレクタブルトルクコントロール(トラクションコントロールシステムに該当)などの先進装備が万が一のセーフティとして控えている。
だから乗り手は『バイクで走ること』に完全に没入できるんです。
そして、先にすこし触れた『疲れないこと』もHAWK 11の大きな特徴のひとつ。
足まわり設計の担当者も想定される大人のバイク乗りにとって快適であることに配慮したそうですが、それ以上に際立つのは開発初期段階からこだわったというライディングポジションです。
HAWK 11のライディングポジションは、そのセパレートハンドルもあり『走りを意識した前傾姿勢』です。おそらく初めてこのバイクに跨る時には、よほどスーパースポーツに乗り慣れているライダーでもない限り、思った以上に“キツい”と感じると思います。
だけど、そこで『こんなに前傾がきついのは乗れない』と判断するのはあまりにも早計。私自身もそうでしたが、ゆったりしたペースでツーリングする時や高速道路などでは、不思議なほどに快適なんです。
このライディングポジションに対し、バイクの総合的な使い勝手などをジャッジする商品性担当者は『大きな可能性を持ったライディングポジション』だと感じ、それをさらに磨き上げるために“初のチャレンジ”をしたとも聞いています。
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エンジン、シャシー、足まわりから乗る人への配慮。
それらすべてが絶好バランスに整えられたHAWK 11は、公道を走る大排気量スポーツの『ひとつの理想』と言えるほどの完成度を誇ります。こと、バイクで走ることが好きなライダーにとって最高のパートナーになってくれることは間違いありません。
だけど!
長く付き合う自らの愛車を選ぶ時、もっとも重要なるのはスペックの数字や走りの性能じゃありません。
HAWK 11というバイクを愛せるか———。
最後にそのことについて、すこし触れておきたいと思います。
【総集編③】は6/2公開予定です。お楽しみに。
【文/北岡博樹(外部ライター)】
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