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ワインディングが閉ざされる冬。 HAWK 11(ホーク 11)となら『街の朝駆け』も悪くない。【HAWK 11に、乗る / 半日の自由 冬の朝駆け 編】

今さら言う事でもないけれどHAWK 11が本領を発揮するのはワインディングだ。けれど寒い季節はどうしてもそこに制限が掛かる……でも心配はいらない。HAWK 11というバイクは早朝の2時間で、けっこう満足できるんだから。

冬はHAWK 11(ホーク11)を楽しめない?

HAWK 11というバイクを所有するオーナーにとって、冬はすこし『我慢の季節』だ。

長年バイクに乗ってきた人には釈迦に説法というものだけれど、寒い時期のワインディングは正直、思いきり楽しめるものじゃない。わかりやすく雪が積もっていたりしなくても、峠の道は滑りやすい凍結防止剤でベトベトだし、コーナーの先が枯れ葉で埋まっていたり、それこそ日陰は日中でも凍結している可能性を捨てきれない。

もちろんバイクとの付き合いかたを心得たご同輩方であれば、そんな環境で思慮に欠ける走りをしないとは思う。だけどやっぱりHAWK 11というバイクが傍らにありながら、ワインディングを存分に楽しめないというのは少々ストレスだ。

でも、だからってHAWK 11という『バイクそのもの』を味わうことができない訳じゃない、ということはご存じだろうか?

たった2時間。朝の街を駆け抜ける

忙しい大人にとって、休日に手に入る自由時間なんてせいぜい半日程度。HAWK 11はその『半日の自由』を最大化してくれるということは、これまでにもお伝えしてきたとおり。

お気に入りのワインディングをひとっ走りして、サッと帰る。その短時間で、ライダーとしての幸せを感じることができるバイクだ。

 

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それが冬ともなると、先に言った理由でワインディングへの足が遠のくことになる。

でも考えてみて欲しい。実は楽しめないのは、HAWK 11の走りにおける『コーナリングの部分』だけなのだ。

早朝6時。だけど冬の夜明けは遅くて、まだ日も昇る前の静かな時間。

HAWK 11には『エンジンに火を入れる』という表現がとても良く似合っていて、セルボタンを押せば2気筒らしい重厚なサウンドと共にバイクが目覚める。その瞬間から気持ちがワクワクしてくるのは、季節が冬だろうと関係ない。

ハンドルに手を添えて走り出せば、エンジンの鼓動とアイドリング時とはまた違ったサウンドに気分が良くなる。

それに、やってみるとわかることだけど週末の街の早朝っていうのは、ウィークデイに比べると交通量も格段に少なくて、思った以上に快適だったりする。

冬の寒さにバイクを馴染ませるように最初はゆっくり。住宅街を抜けるころには、日も昇りはじめる。

春から秋にかけてワインディングへ走りに行く時は、どうにも『はやく走りたい』と逸る気持ちを抑えきれずに先を急いでしまうんだけれど、はじめからワインディングへ行かないと思っていると、いつもより心にゆとりができるのは不思議な感覚だった。

『オレのバイク、いい音じゃないか』

すこしバイクを停めて、まだ静かな街の中、相棒の魅力を再発見できたのは大きな収穫。音と鼓動。それもHAWK 11というバイクの大きな魅力なのだ。

大排気量2気筒エンジンの恍惚

 

だけど、それだけじゃやっぱり物足りないから都市高速へ。ETCレーンのゲートが上がると共に、また気分が切り替わる。

 

こういう時、大排気量ツインっていうのはわかりやすくていい。豊かな低速トルクに支えられて軽やかに吹け上るエンジンは、都市高速のクルージングでも十分な満足を感じさせてくれるからだ。

 

時間はギリギリ『街が目を覚ます直前』といったところ。すこしづつ交通量が増えていくのを感じながら湾岸道路を駆け抜ける。

冷たい風も、身体が冷えていないうちはキリッと心地よくて悪くない。バイクは風を切って走るのが醍醐味なんだよなぁ、なんて今更なことを考えつつ、時にはスローペースの大型車をかわすためにアクセルを開けて加速。追い越しが完了したら、再びクルージングスピードへ、を繰り返す。

基本的には、それだけ。

だけどそれは思った以上に楽しい時間で『やっぱりバイクっていいよな』なんて、ヘルメットの中でひとりごつ。HAWK 11は短い自由を最大化してくれるバイクだっていうことは、先にも言ったばかりだけれど、それは何もワインディングに限った話じゃない。

バイクで走ることそのものを楽しませてくれる。そういうバイクだから半日の自由を満喫できるのだ、ということに改めて思い至った。

朝7時。高速を30分も走れば、その頃にはもう街が動き出していて、明け方の静けさはどこにも無くなる。直感として『もうここにはHAWK 11を走らせる場所は無いな』と感じたら、その時が街の朝駆けの引き際だ。

そこから真っ直ぐ帰途につくのもいいけれど、せっかくの自由時間、もうすこし『ひとり』を楽しみたいからって、高速を降りて海辺の公園へと立ち寄ってみる。

普段の生活じゃわからないことだけど、朝の公園っていうのは街よりも動き出すのが遅いらしくて、暖かい缶コーヒーを片手に、もう一度静かな空間を満喫できた。

HAWK 11の音と鼓動を堪能して、相変わらず元気なエンジンに嬉しくなって。

時間にしたら、出発からここまでせいぜい2時間程度なんだけど、その時間の中で『得たもの』は予想以上に大きいように思える。もちろんHAWK 11の本領がワインディングであることには変わりはないし、冬が終わって、再びお気に入りの道を駆け抜けるのは楽しみなこと……だけど、なかなかどうして『街の朝駆け』も捨てたもんじゃない。

 

そういや走るのに夢中で朝飯も食べてなかったな……なんて思いつつ帰途へ。

だけどよく考えたら、まだ家族との朝食に間に合うかもしれない時間帯。HAWK 11で走って、その後にみんなと朝食を摂るっていうのも悪くない。でも間に合うかな? なんて考えつつ家路を急ぐ。

お気に入りのワインディングに通えない冬だって、HAWK 11の楽しさは変わらないのだ。

気に入った、また走ろう! あ、でもそうだ……この『自由』をもっと楽しむために、今度、HAWK 11にグリップヒーターをつけようかなぁ?

【文/北岡 博樹(外部ライター)】

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