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車体の『色』さえも、HAWK 11 (ホーク 11)のアプローチは普通じゃない【HAWK 11を、知る / 開発インタビュー カラーリング編】

昨年2022年12月、HAWK 11はHondaのバイクとして初めて「オートカラーアウォード 特別賞」を受賞したのはまだ記憶に新しい。でもその『色』って、どうやって生み出されたんだと思う?

カラーひとつでバイクの印象は大きく変わる

バイクの色って、誰がどうやって決めているか知っているだろうか? 我々のような一般ユーザーにとっては、まず気になるのはエンジンや車体、あるいは走りの性能のこと。

だけどバイクのカラーやグラフィックというのは、そのモデルの第一印象を決定づけるものだから、冷静に考えてみるとものすごく重要だったりする。それを踏まえて考えると、昨年末2022年の12月にHAWK 11の「ホークスアイ ブルー」が、その年の車両の優れたカラーデザインを顕彰する「オートカラーアウォード 特別賞」をHondaのバイクとして初めて受賞したことは快挙と言っていいだろう。

モーターサイクルデザイン開発室・プロダクトデザインスタジオ・カラーグラフィックデザイナー/桂川 碧さん

それを成し遂げたのはCMF(カラー マテリアル フィニッシュ)グループに所属するカラーグラフィックデザイナーの桂川さん。過去にはアフリカツインやゴールドウイングなどのカラーリングも担当し、自身もアフリカツインを駆る本物のバイク乗り。そんな彼女に、今回は「HAWK 11のブルー」が生まれた経緯について話を聞くことにした。

桂川さん『HAWK 11のカラーは、これまでとは色の発想のしかたを変えて作っているんです。このバイクはすごくニッチだから、どこまで「乗る人のイメージ」を形づくれるかが課題。だからセンチメンタルな感情から色をイメージしようと、とても感情的に色をイメージしたんです』

HAWK 11のイメージカラーといえば、やはりホークスアイ ブルーの印象が強いけれど、実際のところ開発のスタート段階では「ブルーだと決まっていた」訳ではないのだという。

 

桂川さん『ブルーのイメージは初期のデザインスケッチの時からありましたが、カラー担当として「本当にそれでいいのか?」を精査しています。まず大きな存在だったのは発案者の内田さんです。同じ部署でいつも相談に乗ってもらったり気軽に仕事の話もしているんですが、今回はとにかく内田さんのイメージを具現化できるように、と強く思っていました。』

 

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桂川さん『HAWK 11のカラーリング開発が他と違うのは“ストーリーから色を決めたこと”じゃないでしょうか。ひとりの男性が夜明け前から走り出す。早朝のひんやりとした峠でエンジンを止めて、その時に感じる風、空気感。HAWK 11を通して情景を写し取るというか(走りに出た)その時の記憶をバイクと共に積み重ねていけるような色として選んだのがホークスアイ ブルーだったんです』

聞くところによると通常バイクの色というのは、車体のイメージやそれを選ぶライダーの趣味嗜好を反映して、営業とも相談しつつ決められていくものらしいのだが、HAWK 11のカラーの発想はとことんプロダクトアウトでつくられていったのだという。

桂川さん『このホークスアイ ブルーはとても2面性のある、シェードとハイライトの差が大きい色なんです。光が当たらない時には重く沈みこみ、陽光が当たると輝く。静の中の動、をイメージする色でもあります。起点が情景や人、空気感だったこともあり、一般的なマスマーケティングじゃ実現できない「驚き」と「感動」を提供したいと思っていました。』

あまりにも自然に馴染んでいるため気づかなかったけれども、言われてみればロケットカウルのバイクに対して鮮やかなブルーというのは珍しい組み合わせ。桂川さん自身、HAWK 11の開発過程においては「こういう色の生み出し方もあるのか!?」といった発見があったとのことだ。

 

桂川さん『どこまでパーソナルな欲求に応えられるか? ひとりの人の想いを汲み取ってモノづくりをする。HAWK 11のカラーリング開発を通して思ったのは、これこそHondaの“Power of Dreams”なんじゃないかっていうことでした。』

これまでのHondaのバイクとは違うアプローチで生み出されたHAWK 11は、カラーリングひとつとってもやっぱり普通じゃなかった。10代の頃からバイクに乗りはじめ、色とバイクが大好きだという桂川さん。そういう人が「貴方のために作った色」こそがホークスアイ ブルーだったのだ。こんなスペシャルなバイク……改めて言うけど、他にはないぞ!?

【文/北岡博樹(外部ライター)】

 

 

 

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