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トガると決めて生まれた。HAWK 11(ホーク11)というバイクを届ける『裏方』の知られざる熱意【HAWK 11を、知る /インタビュー 編】

HAWK 11に限らず、バイクはバイク屋さんに行けば買えるもの。だけど、そんな『当たり前』の裏側にだって“知られざる熱意”がある。今回はそんな『裏方の人』のお話です。

HAWK 11(ホーク11)を『届ける人』がいる

新しいバイクが登場した時、まず注目を浴びるのは『それがどういう走りをするか』といった試乗記/インプレッションであり、その次の段階としては『それがどんな経緯で造られたか』を知ることができるエンジニアへのインタビューなどが脚光を浴びることになります。

 

そもそも我々のような一般ユーザーの場合『バイクはバイク屋さんに行って注文すれば買うことができるもの』というのが当たり前の認識だし、バイクがどうやってお店に納入されるかなんて、普通は考えないと思います。

 

でも、そこにだって“人”がいる。HAWK 11というバイクをユーザーに届けるために熱意を傾ける人物がいるんです。

今回お話を伺ったのは、Honda国内二輪の総合商社であるホンダモーターサイクルジャパンの常松さん。担当する仕事はHAWK 11の企画を取りまとめ、全国のHonda Dreamに届けること。通常であれば日の目を浴びることはない企画・営業職で、言ってしまえば『裏方さん』といったポジションです。

 

なぜそんな人物にご登場を願ったかと言うと、それはこのサイトでもお伝えしてきた通り『HAWK 11がこれまでのHondaとは違うアプローチで生まれたバイク』だからに他なりません。

尖ると決めて『HAWK 11』は生まれた

常松さん『Hondaに限ったことじゃありませんが、最近のバイクは“市場が求めているモノ”に寄り添って製品を作って、それを投入していくマーケットインと呼ばれる手法が主流です。だけど、HAWK 11はそうじゃない。市場に必要とされているから……ではなく、HondaがHondaとして、純粋に作りたいものを作った。最初から「尖る」ことを決めて生まれた、そういうバイクなんです』

 

改めて言っておくと、HAWK 11は“ひとりの社員の想い”から端を発し、それが製品となって世に送り出されたバイク。ロケットカウルを装備した大排気量の2気筒オンロードスポーツというのは、常松さんの言う通り、際立って今、世の中から求められている存在ではない、というのも事実でしょう。

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常松さん『だけどHondaって、培ってきた考え方として、本質的にはそういうメーカーなんです。最大公約数じゃない。ニッチでもいい。刺さる人には刺さるバイクを造る。こういうご時世ではチャレンジすることも簡単じゃないですが、そんな中でのHAWK 11は挑戦的。今の時代、Hondaだからこそ作れたバイクだと思っています』

 

バイクが飛ぶように売れたブームの頃に比べれば、今の市場は縮小している。そういった話はライダーならば一度ならず耳にしたことはあると思いますが、そういう流れの中では「失敗できない=売れない可能性のあるモノには手を出さない」といった慎重論が力を持つのは当然の成り行き。

 

場合によっては販売店からさえも「このバイクは必要ない。お客さんは求めていない」と見放されてしまうリスクだって無いとは言えません。

常松さん『そこでボクたちは、HAWK 11は誰にとってのバイクなのか? ということを考えました。このバイクを買ってくれる人はどんな人か? じゃなくて、ボクたちが“HAWK 11に乗って欲しい人”をイメージしてみたんです。その結果として、できるだけHAWK 11はシンプルにしました。もっと豪華装備を盛ったり、ゴージャスにすることもできたと思います。けれど、このバイクに価値を感じてくれる人は、そこに魅力を感じる人じゃない。走る楽しさ、もっと本質的な部分を重視する人だろう、って思ったんです』

 

聞けば常松さん自身も相当なバイク好きで、自らの車歴もVTR250からはじまり、ファイヤーストーム(VTR1000F)も所有するなど2気筒のオンロードスポーツには強めのこだわりを持つタイプ。そんな常松さんは、はじめてHAWK 11に乗った時にこう思ったそうだ。

常松さん『2気筒エンジンのスポーツバイクって生き物っぽい感じがして、そういうところが好きなんですが、HAWK 11は思った通りのバイクでした。音も、ハンドリングもそう。期待通り。それで、自分の考えていたことは間違いじゃないはずだ、って信じることができた。営業的に言えば台数をたくさん売ることも大事だけど、それ以上に“HAWK 11を求めてくれる人の元に、ちゃんと届けよう”って。HAWK 11というチャレンジにおける“成功”はそれだと思ったんです』

 

ニッチなバイクだけど、HAWK 11を欲しいと思ってくれる人は絶対にいる。こういうバイクだからこそ、チャレンジだからこそ、世にきちんと送り出そうと覚悟を決めた。ある意味、腹をくくったとも常松さんは言っていました。

常松さん『欲しい! ってシンプルに思ってもらえるバイクにしたかった。HAWK 11は例えばCB1300シリーズのように、長く歴史を積み重ねてきたド真ん中のブランドじゃありません。だけど逆に言えば、背負っているものもない。これからのバイクとして、成長していって欲しいって、そう願っているんです』

 

はじめに言った通り、バイクはお店に行って、注文すれば買うことができるものです。

だけどその「当たり前」の裏側には、それを支える“縁の下の力持ち”がいる。

 

そのことをHAWK 11のオーナーさん、あるいはこれからオーナーになろうとしている人には伝えておきたい。あなたの手元に届く愛車は、表には出ない、たくさんの人の熱意に支えられているバイクだっていうこと。それをちょっとだけ知っておいてもらえると、私はとても嬉しいナァって思います。

【文/北岡博樹(外部ライター)】

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