日本国内にHAWKの名を冠したバイクが生まれたのは1977年。そこからHAWKという車名はオンロードの2気筒スポーツモデルにのみ与えられる称号となったんです。
ドリームCB400FOURの後を継ぐ最高性能の2気筒スポーツ『HAWK(ホーク)』
バイクに長く乗ってきたベテランライダーであれば、『ヨンフォア』の愛称で親しまれたHondaの名車のひとつ「ドリームCB400FOUR」の名は当然、ご存じのことだと思います。
しかしながら「ドリームCB400FOUR」は1976年に生産を終了。翌年、その後を継ぐバイクとして日本国内ではじめて『HAWK(ホーク)』の名を冠して登場したのが「HAWK-II CB400T」でした。
新たな価値を創造するために生み出された「HAWK-II CB400T」は、ツーリングバイクとしての快適性と、スポーツバイクとしての俊敏な走りを併せ持った高性能マルチパフォーマンスバイクとして誕生。
マスの集中化が図られた軽快なハンドリング、最高出力40馬力を発生する高回転高出力な直列2気筒エンジンが特徴で、スーパースポーツ仕様でありながらタウンユースも快適なバイクとして幅広いライダーに支持を獲得。一気にHondaの主力モデルとなるほどのセールスを記録することになります。
そして、同1977年には250ccモデルもラインアップに追加。日本国内における「HAWK」は、まず、ここが原点となります。
その後、「CB400N」から「SUPER HAWK III」へと進化を果たし、80年代の2気筒オンロードスポーツの地位を確立しました。
復活した『HAWK(ホーク)』の名が意味するもの
その後にも海外市場では1988年の「HAWK GT(NTV650)」(日本国内での名称はブロス)や、1997年のSUPER HAWK 996(北米市場での車名。日本国内での名称はファイヤーストーム VTR1000F)など「HAWK」の名はHonda2気筒スポーツバイクを象徴するものとして使用されていました。
そして2022年、日本国内専用モデルとして「HAWK 11(ホーク 11)」が新たに誕生。
ここで特筆すべきは『新しいHAWKが、時代を超えて、どこまでもHAWKらしいこと』です。
HAWK 11の佇まいを現代的な感性で見れば、スポーツバイクの原点とも言えるロケットカウルのスタイルを「ヨーロピアンな趣」と捉えることもできるでしょう。
ただ、それ以上に驚かされるのはスポーツバイクとしての高性能。ワインディングで乗り手をその気にさせるライディングポジションと軽快なハンドリングを持ちながらも、絶妙のサジ加減で整えられた車体設計と足まわりによってタウンユースまでも快適に……そのマルチパフォーマンスは、まさしく「HAWK」そのものとなっています。
また、そうでありながら排気量1082ccの直列2気筒エンジンは、最新の電子制御を味方につけたうえで、時には荒ぶるほどのスポーティーさを発揮。落ち着いたスタイルからは想像もできないほどの走りさえも披露します。
新しいHAWKが求めたのは純粋なスピードじゃありません。だけど、根本的な部分でその在り方は変わっていない。時代に合わせた形で『最高性能の2気筒スポーツ』たらんとし、その結果として、現代に新しい価値を提案する。
それこそが現代に甦った新時代のHAWK。Hondaの2気筒スポーツを象徴する『HAWK 11』と言うバイクです。
【文/北岡博樹(外部ライター)】