MODEL HISTORY

モーターサイクルヒストリア
~レジャーバイクブームの立役者~ Dax125

1960年代~70年代にホンダのラインナップを賑わせていたのが、名車CL72に代表されるスクランブラー(オンロードに悪路走破性をプラスしたバイク)でした。この当時、日本の道路には未舗装の場所が数多く残っており、1970年の一般道路舗装率はわずか15%だったと言われています。


そんな中登場したレジャーバイクのDax(ダックス)は、未舗装路をしっかり走ることができる性能に仕上がっており、国内はもちろんアウトドアレジャーが盛んな海外でも人気となりました。スクランブラーを彷彿とさせるアップマフラーと10インチのオフロード系タイヤが特徴的で、今でもファンやマニアが多い魅力的なモデルです。

当時のチラシより

ダックスがマニアックと呼ばれる理由はそのバリエーションの豊かさにあります。1969年の発売時には排気量2種×2タイプの計4車種でしたが、1971年には4速マニュアルを搭載したモデル、1972年にはオイルダンバー式フロントフォークを備えた上位版とホワイトボディ+花柄シートの「ホワイトダックス」が追加され、5タイプ14車種が同時期に販売される大所帯となりました。

当時のチラシより

その後も機種は充実され、マイティダックス(90cc)、ノーティーダックス(50cc)など派生モデルが相次いで登場し、1979年にはアメリカンスタイルへと変貌を遂げました。

1979年モデル DAX HONDA ST50-M(マニュアルクラッチモデル) と 当時のカタログ

ホンダレジャーバイクのパイオニアとも言われるダックス。代表的なモデルをいくつか紹介させていただきます。

ダックス・ヒストリー

1969年 ダックスホンダ ST50/ST50エクスポート/ST70/ST70エクスポート

1969年モデル ダックスホンダ ST50

1969年モデル  ダックスホンダ ST50エクスポート

発売時の正式名称は「ダックスホンダ」で、同時に50ccと70ccが発売された。初期モデルはダウンマフラーとクラシックなスタイルの前後フェンダーを持つモデルで、後年ダックスのトレードマークとなるアップマフラーを装着しているモデルは、遅れて発売されたエクスポートの方である。4ストローク3速ミッションの49ccエンジン(ST50)は4.5馬力を発生し、パワーに耐えられる強靭なボディや足回りが与えられていたことがわかる。

当時のパンフレットから 車のトランクに横にして収納できるのが特徴だった

またフロント部分を取り外し、横にした状態で車のトランクに積める機構を備えており、二輪+四輪のライフスタイルを提案するレジャーバイクだった。

1972年 マイティダックスホンダ ST90

1972年モデル マイティダックスホンダ ST90

14インチのセミブロックタイヤとシリーズ最大排気量となる89ccエンジンを搭載し、悪路での走破力が強化されたモデル。ダックスのフレームをベースに補強を加えた鋼板製バックボーンフレームも相まって、マイティ(力強いの意)の名に恥じないシャープな加速とパワフルな走行を可能にした。全体のフォルムは、無骨なデザインのサイレンサーやスポークホイールなど、よりオフロードバイクらしいデザインが各所に採用されている。

1973年 ノーティーダックスホンダ CY50

1973年モデル ノーティーダックスホンダ CY50

わんぱくを意味するノーティーの名を冠したダックスは、名前こそダックスであるものの、従来モデルとの共通点があまり見あたらない突然変異的な存在だった。ダックスのアイデンティティとも言える鋼板プレスフレームではなく、剛性が高いダイヤモンドフレームを採用し、エンジンは横置きから縦置きに変更されるなど、とにかくパッと見た雰囲気が違うニュータイプのレジャーバイクだった。

1995年 ホンダ ダックス

1995年モデル ホンダ ダックス

ダックスホンダの販売終了から14年、90年代は原付一種スポーツが人気だったこともあり、あっと驚く復活劇でレジャーバイク界に再登板することとなった新型ダックス。名称は「ダックスホンダ」から「ホンダ ダックス」となったが、鋼板プレスフレームやホイールの形状まで高いクオリティで先代のイメージを再現していた。時代の変化とともに電装系は6Vから12Vになり、点火方式はCDI式マグネット化されるなど各部のアップデートが行われたが、乗り味や使い勝手はかつてのダックスホンダそのもの。トランスミッションはクラッチ操作なしで気軽に乗れる自動遠心式3段リターン変速機となっており、誰もがイージーに楽しめる仕様になっていた。

2022年 ダックス125

2022年モデル ダックス125(パールネビュラレッド)

モンキーに続きダックスも原付二種となり現代に蘇った。ダックスのスタイリングを決定付ける鋼板プレスを用いたT字型バックボーンフレームはもちろん、個性的なアップマフラーなど、ダックスの特徴的な意匠を現代風にアレンジして再現。パワーユニットは空冷4ストロークOHC123cc水平単気筒エンジンで、クラッチ操作や頻繁なシフト操作を必要としない自動遠心クラッチが採用された。足まわりは、高剛性キャストホイールに12インチサイズのチューブレスタイヤを組み合わせ、倒立フロントフォークならびに前後輪ディスクブレーキを採用。さらに前輪のみ作動するABSを標準装備とした。ダックスの特徴でもあるロングタイプのシートには大型のグラブバーが組み合わされ、快適なタンデム走行を考慮した作りとなっている。

生まれて、消えて、また生まれて

ダックスは時代の節目に不死鳥のように現れるモデルとなっています。車に積めるというコンセプトからスタートしたものの、次第に走ることに特化した性能へと変わっていくさまは、レジャーバイクとしての楽しみ方の移り変わりとリンクしているようで非常に興味深いですね。


新しく生まれ変わったダックス125も多くのライダーに愛されることと思います。

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