MODEL HISTORY

モーターサイクルヒストリア
~世界で愛されたもう一つのカブ~ CT(ハンターカブ)

スーパーカブのトレイルモデル(オフロードタイプ)のカブとして認知されている「ハンターカブ」ですが、そのネーミングはどこから来たのかご存知でしょうか?


「ハンター」の名が付いたモデルは1961年に登場したハンターカブ(C105H)で確認できますが、おそらくみなさんが思い描くハンターカブのスタイルとは違っています。ざっくり言わせてもらうなら、スーパーカブに銃などの狩猟道具を積載するキャリアが付けられた、文字通りハンター(狩猟家)向けモデルだったのです。

1962年の広告より

ただこのスタイルは販売が振るわず、翌年にはお馴染みのスタイル(レッグシールド無し・アップマフラー装着)へと変更されました。


ちなみに「ハンターカブ」の名前が正式に付けられたのはこのC105Hと、同モデルの49cc版となるC100Hの2モデルだけ。しかし2020年には半世紀以上ぶりとなる3台目のハンターカブが登場。現行車の「CT125」には正式に「ハンターカブ」の名前が付けられています。


皆さんが親しみを込めて呼ぶ「ハンターカブ」は、正式には「CT」という名で、主に海外で人気のあったモデルです。日本と違い大自然でのレジャー用途や、牧場や農園での移動手段としてCTは大活躍&大ヒット。逆にビジネス用途としての文化が根付いていた日本では遊びバイクとしての CTのウケは良くなかったようです。

1972年モデル CT90 TRAIL90(輸出モデル)

しかしCTシリーズとして国内三度目の登板となった「CT125ハンターカブ」のヒットは皆さんご存知の通り。魅力溢れるCTシリーズ最新作を皆さんにも楽しんでもらえたら嬉しいです。

CT・ヒストリー

1968年 ホンダCT50

1968年モデル CT50

アメリカでCTシリーズがヒットしたことから、国内でもCTを販売することになり、海外向けモデルの「CT90」を49ccにスケールダウンしたモデルが「CT50」だった。このモデルは2輪車で初となる副変速機の採用が自慢で、通常の3速の他にLOWとHIのギアが別にあり、レバー1つで切り替えができるような仕組みを持っていた。発売時の資料には「釣り、キャンプ、狩猟のレジャーから、河川、森林、ダムなどの工事、山間部の業務用として」と書かれており、アメリカにおけるCTシリーズの使われ方をそのまま日本に当てはめようとしていたことがわかる。多彩なオプションパーツも用意され、レジャーバイクとしての新しい価値をこの「CT50」に与えたものの、当時の日本ではその文化を受け入れる土壌が整っておらず、残念ながらわずか3年ほどで販売を終了してしまった。

CT50 当時のチラシより

1981年 CT110

1981年モデル CT110

2度目の発売は空前のバイクブームと言われている1980年代、ホンダが提唱した「トレッキング(山歩きのような楽しみ方)バイク」の第三弾ラインナップとして登場。7.6馬力の105cc4サイクル単気筒エンジンと、自動遠心クラッチ付4速ミッション(輸出版は副変速機付き)を組み合わせ、パワフルでありながらスーパーカブ同様の扱い易さを持っていた。装備はスキッドプレート(岩などからエンジンをガードする板)、アップタイプマフラー、大型リアキャリア、そして大型タンクなどトレッキングバイクとしての充分な装備が施されており、販売の主力となる海外では好調なセールスを記録した。一方日本国内ではバイクの高性能化とロードレースブームの煽りを受け、わずか2年で販売終了となってしまった。

2020年 CT125・ハンターカブ

2020年モデル CT125 ハンターカブ(グローイングレッド)

原付二種需要の高まりと、市場の声を反映して待望の復活を遂げた CT最新作。1981年のCT110を彷彿とさせるフォルムは日本国内のみならず海外からも注目を浴び、正式発売がアナウンスされると「あっ」という間に年間販売予定台数を超える注文が入った。2018年に発売された「スーパーカブC125」をベースにしているが、CT110の特徴となっていたハイマウント吸気ダクト、アップマフラー、アンダーガード などをしっかり継承しており、外観はもちろんトレッキング性能も高いものとなっている。さらにCTシリーズ初となる前後ディスクブレーキを装備し、全灯火類にLEDを採用するなど最新の技術が注がれており、街乗りからツーリングまで快適なライディングをサポート。令和に生まれたCTは単なるリバイバルモデルではなく、「気軽に、楽しく、どこへでも」という新しいイメージを持ったフレンドリーなモデルなのだ。

三度目の正直

20世紀に発売されたCT50とCT110の2機種は、時代を先取りしすぎたのかヒットに恵まれなかったものの、後に時代が追いつき人気がでてきた珍しいモデルです。そして、21世紀に発売された「CT125・ハンターカブ」は、通勤通学や街乗り、ツーリングにキャンプにと幅広い用途で愛用されるスマッシュヒットモデルとなり、現在に至ります。


初登場から60年が経過した歴史あるCTシリーズ。その新しい歴史はCT125オーナーの皆さんで刻み続けて欲しいと願います。

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