MODEL HISTORY

モーターサイクルヒストリア
~ホンダスピリッツの具現化~ Super Cub

世界生産累計一億台、誕生から64年目を迎えHondaを代表すると言っても過言ではないバイクがご存じ「スーパーカブ」です。「カブ」の語源は英語で「猛獣(熊など)の子供」という意味で、小さいエンジンでもパワーがあることをアピールするため命名されました。

当時の広告より

その名の通り小さくてもパワフルなスーパーカブは発売以来大ヒット!当時の日本では年間2〜3万台の市場規模だった二輪業界ですが、発売からたった3年で年間56万台の生産を行うまでのモンスターに。2021年の日本での二輪車販売台数は約35万台ですから、時代は違えど単一機種でこれだけ販売されていたことがいかに凄いかがわかります。


そしてスーパーカブ人気は日本だけにとどまらず、世界160カ国以上※で販売され、15カ国の工場で生産されてきました。※Honda調べ

Super Cub 110 1億台記念車

2017年には世界生産累計一億台を突破!


その記録は今なお更新中ですから、いつか訪れる生産2億台達成を一緒に祝福できる日が来ることを楽しみに待ちたいですね。これからも作り続けられるスーパーカブ号!ここで紹介する以外にも数え切れないほどのモデルが存在していますが、ざっくりと振り返ってみましょう。

カブ・ヒストリー

1958年 スーパーカブ C100

1958年モデル スーパーカブ C100

世の中にないものを作る、というホンダのチャレンジ精神が生んだ最初にして最高傑作とも言えるスーパーカブの初代モデル。

この時点でスーパーカブの基本構造とも言える自動遠心クラッチ、低燃費の4ストロークエンジン、跨りやすい低床バックボーンフレームに大型レッグシールドを備えている。当時の原付は安価な2ストロークエンジンが主流の中、敢えてコスト高のOHV4ストロークエンジンを新開発し、原付でありながら125ccクラス同等の4.5PSの高出力を叩き出した。それに加えて、外装にプラスチックを多用した軽量なボディーと17インチの大径タイヤによる乗り味は、未舗装路が多かった日本の道路事情に最適で、瞬く間にヒット作となった。この当時の年2万台程度の市場規模に対して「月間3万台は売れる」の言葉はあまりにも有名。

1966年 スーパーカブ C50

1966年モデル スーパーカブ C50

発売以来空前のヒット作となったC100は累計清算台数500万台に迫っていたが、更なる耐久性と性能の向上を目指してモデルチェンジを敢行。メンテナンス性に少し難のあったOHVエンジンから、オイルポンプや自動カムチェーンテンショナーを新たに採用した新設計のOHCエンジンへと移行しメンテナンスフリーを追求。「オイルがほとんどなくても走り続ける」とさえ言われるほどの耐久性と信頼性を得た。あわせて最高出力・最大トルク・最高速度のみならず燃費も向上。世界に類を見ない全車2年間5万キロという、当時としては異例ともいえる長期保証制度の導入もあって、スーパーカブは不動の人気を勝ち得ていく。フレームを含めた外観も各部の材質や製造工程などを見直した新型となっており、今に続くスーパーカブのパッケージは完成度をさらに高めた。

2009年 スーパーカブ110

2009年モデル スーパーカブ110(コスタブルー)

90ccから110ccへと大幅進化、日本における最大排気量のカブが誕生した。従来のバックボーン+プレスフレームから完全新設計の角断面パイプのバックボーンフレームとなり、排気量アップに伴う剛性を確保。足まわりには路面追従性に優れたテレスコピック式フロントフォークを採用した。エンジンは低フリクション技術を採用した高効率な空冷4ストローク単気筒110ccを搭載し、電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)の採用などで、環境性能と力強い出力特性を両立。燃費はスーパーカブ90を上回る63.5km/L(60km/h定地走行テスト値)を達成している。また発進と変速にそれぞれ独立したクラッチ機構を備えた2段クラッチシステムを採用し、スムースな加速の実現と変速時のショック軽減に寄与。外観も一新され、伝統的スタイルを踏襲しつつ、各部をブラッシュアップして端正なデザインに仕上げられた。

2012年 スーパーカブ110

2012年モデル スーパーカブ110(スマートブルーメタリック)

大幅に刷新されたデザインは、スーパーカブのオリジナリティーを活かしながら直線と曲面が融合した新世代のスタイル。ヘッドライトは新設計の角型マルチリフレクタータイプとなり、ウインカーと共にカウルと一体になった流麗なハンドルまわりを演出している。車体は、剛性に優れたバックボーンタイプのパイプフレームを前モデルより踏襲しながら、フレーム剛性の見直しや、ホイールベースを20mm延長したことなどにより、荷物積載時の安定感のある走行に寄与。エンジンは低・中回転域を重視したトルク特性と減速比の最適化によって、力強さを扱いやすさを向上させている。「ニューベーシックカブ」を開発コンセプトに、実用性や経済性、快適性、デザインに加え、生産を中国で行うことで価格を抑えたリーズナブルなカブだった。

2013年 クロスカブ110

2013年モデル クロスカブ110(パールコーンイエロー)

ビジネスモデル「スーパーカブ110」をベースに、アウトドアイメージのスタイリングと装備を施した新感覚のレジャーモデルが登場。ハンターカブの愛称を持つCT110以来となるオフテイストカブの誕生は、既存のカブユーザーのみならず、多くのライダーが振り向く存在となった。無骨っぽさを持つタフなデザインでありながらポップなボディカラーが採用され、オフロードバイクというよりは市街地で映えるストリートバイクのような感覚で乗るもの楽しい。低中速域を強化したギアセッティングに加えて、スーパーカブより20mm高い最低地上高とストローク量の多いサスペンションの採用などにより、多少荒れた路面でも力強さを感じる走りができる。ビジネス然としたスーパーカブのスタイルを打破したカブ界のホープが誕生した。

2017年 スーパーカブ110

2017年モデル スーパーカブ110(グリントウェーブブルーメタリック)

やや直線基調だった前モデルに比べ、曲線を活かした伝統的なカブのスタイリングを再現しつつ、先進性も兼ね備えた新世代スーパーカブを表現したフォルムに仕上がっている。エンジンの出力数値には変更がないものの、耐摩耗性に優れたピストン処理とスパイニースリープを採用したシリンダー部によって低フリクション化を達成。ドライブチェーンは420から428へとサイズアップされており耐久性向上と長寿命化に貢献している。長年のカブユーザーが喜んだのは交換式オイルフィルターが追加されたこと。ドレンボルト部にスクリーンフィルターを配置してオイルレベルゲージは挿入ガイド部を設けた形状に変更するなど、オイル交換時のメンテナンス性が向上した。なおこのモデルから熊本製作所での製造に移行されている。

2018年 クロスカブ110

2018年モデル クロスカブ110(パールシャイニングイエロー)

人気のオフテイストカブがさらにオリジナリティー溢れるボディーを纏ってモデルチェンジ。レッグシールドを排し、縦にスリットが入ったデザインのマフラーカバー、小型のキャリアを兼ねたヘッドライトガードなど、往年の人気トレール車CT110を彷彿とさせる作りが、ファンを唸らせ人気に拍車をかけた。ステップ部はオフ車らしく可倒式が採用され、前後ホイールにはマットブラック塗装のリムとセミブロックタイヤで前モデルよりグレードアップ。さらには前モデルには無かったタンデムステップが装備され二人乗りが可能(タンデム用のシートは別売)になった事も人気を後押しした。

2018年 スーパーカブ C125

2018年モデル スーパーカブ C125(パールニルタバブルー)

スーパーカブを現代の都市交通環境やライフスタイルに沿った形に再定義し、上質で新しいコミューターを目指し作られたフラッグシップモデル。初代モデルC100を彷彿とさせる美しいシルエットと、各部品がもたらす機能美のコンビネーションは「機能を外観で表現する」というHonda二輪デザインの基調そのものである。車体はスーパーカブ110をベースに構成部品の剛性を高めることで、125ccのパワーに負けない安心感のある挙動を実現。また省エネルギーで被視認性の高いLED灯火器や、エンジン始動が容易になるHonda SMART Keyシステムの採用など、最新装備で快適性と利便性を高めている。その他にも前後切削加工仕上げのアルミキャストホイールやディスクブレーキ(フロント)など、上質感を高める装備が惜しみなく奢られており、カブを超えるカブとして新たな歴史を生み出した記念すべきモデルと言えよう。

2022年 スーパーカブ110・クロスカブ110

2022年モデル スーパーカブ110(グリントウェーブブルーメタリック)

2022年モデル クロスカブ110(マットアーマードグリーンメタリック)

足まわりには、メンテナンスのしやすさをより考慮した前後キャストホイールおよびチューブレスタイヤを新たに採用しただけでなく、前輪ディスクブレーキとABS(フロントのみ)も標準装備となり、走行性能も見た目も劇的な進化を遂げた。エンジンは最大トルクと燃費性能の向上を図りながら最新の排出ガス規制に対応するよう変更が行われている。またスピードメーターはお色直しとなり、ギアポジションや時計の表示、平均燃費などを表示する機能が追加され、使い勝手や利便性が向上した。それでいて車両重量は前モデルより軽量化されており、軽快な走りにも期待できる。

変わらなかったカブも変わってゆく

スーパーカブがクラッチ不要で操作できることから「出前の時に片手運転ができる」という宣伝を行なったこともありましたが、片手運転は安全運転義務違反。平成生まれ以降の方だと岡持ち(オカモチ)を持って配達する姿を想像することすら出来ず、「デリバリーって3輪バイク(ジャイロキャノピー)でしょ」と言われたり。スーパーカブだらけだった新聞配達や郵便局のバイクも最近は電動ビジネススクーターの「BENLY e:(ベンリィ イー)」が使われるようになってきています。


スーパーカブはその姿は変わらずとも、クロスカブやC125の登場でもわかるように、その使用用途は少しづつ変化してきているのです。


これからのカブはどうなるのでしょうか?もっと趣味性が高いモデルが登場するかも知れませんし、今以上に街のあちこちに溢れる時代がやってくるかも知れませんね。

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